『さあ、魔法を教えてあげる』
結咲こはる
中学3年の藤吉ほのかは、卒業を目前に3年間片思いしてきた大場の告白するも撃沈。それも、振られた理由がコンプレックスでもある自分の髪が原因だった。そんなほのかが縮毛矯正をかけようと思い切っていった美容室で、スタイリストの瀬尾裕太に出会うことで、コンプレックスこそが自分に似合うものだと知る。
『あなたのとなり』
土井克馬
いつも通り僕のお店に髪を切りに来てくれた町川君が初恋の想い出を話してくれた。小学生の頃に出会った別の学校の女の子。彼女は急に転校してしまいお別れも言えず、今でもその子のことが胸に残っていると。僕は同じ話を聞いたことがある。それは今、まさに隣に座っている舞衣ちゃんから聞いていて……
『青いパンクは女神のしるし』
友貴朱音
矢島友明(25)と妹の麗美(19)が営む美容室に、暗い顔をした若い女性がやって来る。2日後また来た女性は長い髪を切り、青髪ショートにして欲しいと言う。実は遺影を撮影するためだった。程よい距離感の美容室だからこそ本音を話せた女性に兄妹は、大丈夫!あなたはまたここに来ます!と根拠もなく励ます。
『シンデレラの日』
岩瀬朝香
美容院の日、母はシンデレラのように、育児に追われる日々を抜け出して美しい女性へと変身する。たった数時間の魔法の時間。その魔法を解くのは私たちだ。いつからかその事に後ろめたさを覚えるようになった中学生の私。そんな時、母から美容院に一緒に行こうと誘われて、美容師の川原さんに出会う。
『前髪と金魚』
鈴木美葉
「先輩は黒髪ロングが好きなんだって」親友が黒染めした夏祭りの日、私は先輩に告白された。わだかまりを抱えながらその先輩と付き合っている私は、住宅街で店先に金魚水槽が置いてある美容室を見つける。少し変わった美容師に胸の内を明かし、新しい髪形になった私は素直な自分を見つける。
『まっすぐ行けばもうすぐ』
大西千夏
バイト帰り、「私」は突然男性に声をかけられる。一回髪を切るのにかける値段を聞かれただけだったが、そのことがどうにも頭から離れない「私」は半年ぶりにいつも行っていた美容院に出向く。そしていつも担当してくれていた美容師・大橋さんに、今までしてこなかったお願いをしてみる。
『シャンプー』
Chappy
私は会員カードを手に愕然とした。「田中さんって、小樽市の森野中にいらっしゃいました?」「え…」田中君は一瞬怪訝な顔をしてこちらを観た。瞬間的に目つきが悪くて、昔の田中君を髣髴とさせた。「そうですけど、知り合いでしたっけ?」「はい、私同級生の山内です」
『やさしい泡時間』
益子悦子
表参道にあるお気に入りの美容室に通う鈴花はいつも同じ髪型なのが悩みの種。
ある日、その美容室で鈴花は小学校時代の同級生、カトケンに出会う。坊主頭の少年は耳にピアスをあけイケメン美容師に変身していた。シャンプーの泡に包まれながら鈴花は小学校で起きたある出来事の真実を告白する。
『東京で一番静かな美容院』
JIL SANDRE
漫才師の笑美里は、お笑いグランプリの最終予選に落選した。その夜、飲み屋と間違えて入った美容院で、編田と糸井に出会う。その後も二人の美容院に通う笑美里。静かな時間を共有していく。そんな中、結婚を機に大阪に戻りたいと相方に相談される。笑美里は大阪に戻ることを決意する。