HOPPY HAPPY AWARD7月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品10作品です。
『いつかみつけられるものたち』
もりまりこ
僕と訳アリの親父と家出好きの美潮さん、そしてもうひとり親父の恋人ジョウさんと過ごしたあの日々が好きだった。彼ら、おとなたちみんなのそばにはいつもホッピーがあって。彼らはなにがあってもホッピーさえあればうまくいくって思ってるみたいだった。そう言い聞かせてるみたいに・・・。
『ハッピー・アワー』
間詰ちひろ
社会人として働きはじめたばかりの堀部歩美(ほりべあゆみ)。仕事中にミスをして落ち込んでしまう。その日の帰り道、電車で偶然父の秀男(ひでお)に遭遇する。父に「ちょっと付き合え」といわれて向かったのは父の行きつけの焼き鳥屋だった。
『ハ行の邂逅』
微塵粉
サラリーマン小関平太は居酒屋に貼られたポスターを見て自分が小学生だった頃を思い出していた。幼少期のくだらなくて少し甘酸っぱい情景は、酒の肴にもってこいだった。思わずホッピーを注文した事によって、彼の運命は、ほんの少しだけ変わる。
『ファースト・ホッピー』
柿沼雅美
カフェを出ると、セミが鳴いていて、風がないからか空気が全部肌に貼りついて離れない。私の婚活は何か違う気がする、と友里に話すと、結婚じゃないんだわ恋愛がしたいんだわ、と言いながら、ホッピーでハッピーと書かれた居酒屋に二人で入った。
『受け継がれるもの』
ウダ・タマキ
ホッピーが好きな親父は、姉と僕を男手一つで育ててくれた。自分が子を持つ親となり、分かり始めた親父の気持ち。そして、老いてゆく親父の姿を見つめる。縁側に座り、ホッピーを飲みながら僕たちを見守ってくれていた親父。親父と僕の人生の節目には、いつもホッピーがあった。
『1/3の掟』
十六夜博士
20年もの間、一緒に仕事をしてきた尊敬すべき先輩、西山の突然の悲報。まだ、70歳前なのにと、告別式に向かった佐藤は、西山の同期の榎本と再会する。二人が現役だった頃、佐藤は二人と良く飲みに行ったものだった。告別式の後、精進落としということで、佐藤と榎本は近くの飲み屋に入った……。
『隔世遺伝』
吉倉妙
母よりも祖母の遺伝子を強く引き継いだ私は、10年前の夏休みの1か月を祖母の家で過ごし、祖父と祖母の晩酌の思い出を知りました。お酒の弱かった二人の晩酌の思い出とは……。
『銀座でホッピ~』
サクラギコウ
専門学校の建築設計科を卒業し小さな設計事務所に就職した私は、同僚が全員大学院卒であることを知り劣等感に陥る。実力の差は歴然とし、どんなに頑張ってもその差は埋められないと感じた。鬱鬱とした日々を送っていたある日、先輩の横沢さんに連れられ銀座の居酒屋に行く。そこで飲んだホッピーの味は忘れられない宝物となった。
『ジュンちゃん』
室市雅則
早朝。父の友人であるジュンちゃんがキャベツとホッピーを持ってやって来た。
父も母も不在なので、僕が応対に出た。「父の友人」しかも僕の苦手なジュンちゃん。何とも微妙な距離。