○選んだ作品:
『檸檬爆弾』荻野奈々(『檸檬』梶井基次郎)
○選んだ理由:
描写から浮かんでくる白色や黄色のイメージがきれいだと思いました。特にプールの場面。
ブックショートアワード2015年7月期の優秀賞受賞者の皆様に、ご自分以外の作品のなかで最も面白いと思った作品をアンケートで答えていただきしました!
(順不同 / ご返信いただいた方のみ記載)
○選んだ作品:
○選んだ理由:
描写から浮かんでくる白色や黄色のイメージがきれいだと思いました。特にプールの場面。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
原作ではウサギはただずる賢いだけの存在でしたが、この作品では考え過ぎなところがあったり、意外と信心深かったり、憎めないウサギになっていて思わず笑ってしまいました。一度寝たふりをしてからは、その後はずっとカメの後ろを追い越さないように走り続けていたようで、ゴール前の「汗をだらだら流し、息をぜいぜいいわせた」ウサギが、どれだけ必死にゆっくり走ったのかと想像するとウサギに同情してしまいます。
朝からずっとゴールで待ち続けていたキツネも含め、登場する動物がみなそれぞれに素直で真面目なのが、原作のイメージに深みを与えていて秀作だと思いました。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
続きが気になりながら、ラストまで一気に読めました。作品の内容にピッタリな、このタイトル、好きです。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
昔熱心に読んだ原作を懐かしく思い出しながら読ませていただきました。静かで穏やかな夜の風が感じられる、綺麗にまとまった良い小品だと思います。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
甘くて苦く、濃密で爽やかな、そして何処か淋しげでもある。そんな様々な香りを漂わせる、深みのある物語です。大人の世界の酸いも甘いも噛んだ少女の通過儀礼の濃密さは、ふとしたときに思い返して追体験したくなります。
また、本作における「エロ」は、いやらしいというよりも遥かに、現実を未だ知らぬ者の甘美な夢想というイメージを纏っています。それもまた、作品の魅力の一つだと思います。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
謎の遺物から「マラカス」みたいなものが現れ、それを振ってみて初めて打出の小槌と気づくまでのくだりがとても丁寧にそれでいてさらりと書かれていると感じました。
小槌に向って何度も「マラカス」と唱えるN助教授と、「コヅチメソッド」に爆笑。
現代に置き換えたらこんなことが起こりうるという想像もたくましく、最後のどんでん返しにさわやかな気持ちになりました。とても面白かったです。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
微妙に歪んだ世界観、現実と非現実の隙間に落ちてしまった少女の話、という印象が強く残ったため。
檸檬爆弾を扱う少女の手つきが目に浮かぶ。
檸檬のあの爽やかで、どこかもの悲しい香りが読んでいるうちに漂ってきた。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
多方面からの視点で語られる手法は、それならではの謎に満ちていてとても好きです。自分にはとうてい無理なので、本当にうらやましい。誰もが知っている物語が、誰も知らない真実により成り立っていたという点に、スピンオフならではの面白さがあると思います。また、作者の冷徹な文章も魅力のひとつです。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
「世にも奇妙な話」感がすきだった
○選んだ作品:
○選んだ理由:
日常と非日常の境目の曖昧な描き方に魅かれましたし、読み易く、読書の楽しみに浸れました。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
小学生の頃、原作を読んで印象に残ったお話です。三者三様のお姫さまの行動に対する王妃と王子の反応が対照的で、最後の結末にはなるほど、と思いました。相手の行動を自分でどう判断するか、とても大事ですね。自分だったら、お姫さまたちをどう捉えるかな、と読後も余韻のある作品です。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
一言で言うなら発想の面白さです。おとぎ話って結構暗かったり残酷な話が多い中、この作品はおとぎ話の視点を別のところから書いていて、斬新でした。台詞の掛け合いのテンポもとても好みでした。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
このテンポの良さ。ラストまでスルスルと読めてしまった。天帝と天子のショートコントを観ている様な、エンターテイメント性の高い作品だ。西遊記から桃太郎が生まれたという発想も面白い。作者さんにぜひ一度漫才をして欲しいなぁ、なんて思ってしまった。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
鏡にひきこまれる展開が、浦島太郎の少し現実から離れた面白さをそのまま現代的に表現しているようで、設定が良いなと思いました。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
若者流の文章にもかかわらず、文体が確りしていることと会話文が面白い。出会いの縁を題材にしてメルヘンチックに仕上がっていて興味深い。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
一寸法師の打出の小槌で、未来の世界の話、いや、もはや宇宙規模の話を書くことが出来るのか…!と、感動しました。展開のリズムもよく、最後までとても面白く読むことが出来ました。そして何より、最後の一文まで全く予想がつかない展開で、大満足でした。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
いいなぁ、優しいなぁ。きっと山姥、どんどん綺麗になっているんだろうなぁ。可愛いのかな? 可愛いんだろうな。会ったらきっと惚れるんだろうな。泣いたりしたら凄くいじらしいんだろうな。なんて、漫画で読みたくなる作品。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
人それぞれ好みの言葉の流れ方とか音、とかリズム感とか。そういうのがあると思うんですけど、この作品はすごい僕の好きなタイプの文章で。よかったです。でも僕、あんまり上手い読者じゃないから、手渡された檸檬が、実際的に爆弾として爆発していたのか、それとも何か内面で起こる感情の破裂を描いていたのかどうかとか、分からないんですけど、最後の「カチリ」でプツンと宙ぶらりんで終わらせるとことかも、好きですねえ。なんか僕とんちんかんなこと言ってたら申し訳ないんですが、面白かったです。もっかい読んでみます。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
独特のリズムに吸い込まれるように読み進めました。地下鉄のホーム、賑やかな雑貨店、爆弾の炸裂と言った『動』の描写の根底には常に冷たい『静』があり、一見平凡な少女の内側にも『静』と『動』の分裂があり、その裂け目に檸檬爆弾がすっぽりと嵌ったのだろうと思います。『カチリ』という音が今にも耳元で聞こえてくるようでゾクリとしました。
○選んだ理由:
『ウサギとカメ』をベースにしながらも、ウサギに纏わる有名なお話が物語の中に幾つも組み込まれていて、「ここでこのお話が出て来たか!」と楽しんで読んでいました。それら一つ一つを思い出しては、自分で自分の考えを否定していくウサギの揺れ動く心境の変化が面白かったです。そんなウサギの葛藤など知る由もなく、ただただ自分なりに歩いていただけのカメの言葉と審判役のキツネの存在が、ウサギの滑稽さをより引き立てていると思います。読み終わった後、ウサギに「お疲れ様でした」と一言声を掛けてあげたくなりました。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
まず過不足ない静かな語り口、イメージがはっきり頭に浮かぶ文章の巧みさに惹かれました。そして何より『浦島太郎』の踏まえかた、換骨奪胎の方法に痺れました。次何か書くとすればこんなのが書きたい、と思わされた一作でした。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
描写がとてもキレイで好みの空気感でした。読み進めるうちに自然とイメージされる鮮やかな色彩。自分がそこにいるかのように感じる夏の空気。余韻を残して終わる文末も印象的でした。是非映像で見てみたいです。