『エチュード』
古海カナエ
仕事をクビになった「私」は美容院で仕事について尋ねられ、無職であることを隠すために、自分は役者だと嘘をついてしまう。美容院に通う度に、ありもしない役について語り嘘を重ねていく「私」。些細な見栄で演じ始めた「役者の役」は、少しずつ「私」の人生を変えていった。
『ありがとうさようなら』
森名子
成人式の前撮りを控えた十九歳の瑠海は、現在就職活動中。二年前に死んだ祖父は個人で美容室を経営しており、多忙な瑠海の両親に代わって面倒を見てくれていた。ある日、就職活動からの帰宅途中、偶然乗り合わせたバスの車内でおじいさんと孫に出くわし、瑠海は自らの過去のことを思い出す。
『さくらさかせて』
入槌ケンタウロス
人生初のヘアカラーをしに美容院に来ている主人公ミサキ。ところが出るのはため息ばかり。先日の高校の卒業式で片思いの彼に告白するつもりだったのに、結局出来ずじまいだったのだ。しかし美容師のやまちゃんによって美しく変身することができて、気持ちに変化が。そこへなんと、隣に彼が現れて……
『春を纏って』
藤崎瑛太
熊本から大学進学で上京してきた太田栞。不動産屋の新井美玖さんに引っ越し先の鍵を受け取りに行くと、栞は母と内見に来た一週間前よりも新井の髪が短くなっていることに気づき、尋ねてみと駅前の美容院を紹介される。入学前に美容院に行くことにした栞。 髪型を春らしくして、入学の準備をする。
『髪、切った?』
小川いのり
髪を切るとその理由を詮索してくる同僚が嫌で、何年も髪型を変えていない地味な主人公。しかしその同僚が退職し、髪型を変えることを決意する。新しい髪型で出勤すると「髪、切った?」と笑顔で声をかけてくれる同僚が現れ、主人公は自分の変化に気づいてもらえることに初めて幸せを感じる。
『step by step』
間詰ちひろ
亡くなった祖母の家を片付けるため、大学生の成美は一人で家を訪れた。カレンダーに書き込まれてあった美容室の予約を見つけ、成美は祖母が通っていた美容室を訪れることにした。
『隣の矢吹さん』
真銅ひろし
高校三年の春、隣の席の矢吹さんに恋をしてしまった。しかし地味な自分は上手く矢吹さんに話しかけられない。そこで彼女との距離を縮めようと『モテ』を色々調べ、そして髪型を変える事に決める。
『約1センチの髪』
室市雅則
夏に野球部を引退した男子高校生の村上は、丸坊主も引退し、やっと髪が1センチ伸びた。新学期が始まる前、初めて美容室に行くことを決断する。
『ハニカム』
微塵粉
重たい髪の女は悩んでいた。美容室って、何を基準に選ベばいいんだろ。価格、立地、技術、サービス、雰囲気、芸能人御用達、とか……うーん難しい。彼女はあるお告げにより、至ってアナログな方法で店を探し始めた。