小説

『山の神さま』原田恵名(『山の神さま』(岐阜県恵那市山岡町))

地響きのような声が響く。しかし、それは四朗にしか聞こえないのか村人たちは気がついていない。

これは、山の神からの試練なのかもしれない。
喜ぶ人々を尻目に、四朗は空を見上げた。
この恵みの雨がこのまま降り続ければ、恵みに雨は災いの雨になってしまうかもしれない。
そうなれば、今度は竜神に生贄を出すとか、人柱を出すなど言い出すかもしれない。

山の神は、いつもそばにいる。
空を仰ぎながら、四朗はまだ起こっていないけれど、近い将来起こるかもしれない何かを感じて拳を握った。

神に会えたことは、四朗にとってどんな未来になるのか。
それをどう捉えるのかは四朗次第なのだ。

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