次の日の朝。教室に入ると羽衣ちゃんから声を掛けられる。
「おはよう海斗くん。昨日はありがとう、それでね、今日も海斗くんさえよければ一緒に探してくれるかな?」
羽衣ちゃんとは長い間同じクラスだったけれど、こうして話しかけられたのは初めてのような気がする。
嬉しい反面、ストラップを見つけたらこれも無くなってしまうのではないのかとも思ってしまった。
本当なら『昨日、羽衣ちゃんが帰った後にストラップを見つけたよ』って伝えなきゃいけないのに。
「……もちろんだよ。ここまで来たら見つかるまでとことん付き合う」
「ありがとう。海斗くんって優しいのね」
彼女の無垢な言葉に胸がチクリと痛む。
だけど仕方ないじゃないか。誰だって好きな女の子と一緒に居たいと思うのだから。それに、今は言えなかっただけですぐにちゃんと見つけたと言うから大丈夫。
そう何度も自分に言い聞かせ続ける。
「かーいと。天野と二人で何の話ししてんの?」
どこから現れたのか、海斗と羽衣の間にクラスメイトの鈴木信二が強引に割って入る。
彼は黒髪のスポーツ刈りで、年中半袖短パンを着用している変わり者だ。そして彼も海斗と同じで、羽衣のことを好いていた。
「鈴木くんおはよう。えっとね、わたしが公園で白猫のストラップを落としちゃったんだけど、海斗くんが手伝ってくれてるの」
「ふーん、そうなのか。じゃあ俺も手伝おうか?」
「えっ」