さようなら、陽菜。さようなら、『可愛い方』。きゃしゃではかなげな『うつくしきもの』のお腹の中は真っ黒だったよ。もう信じられない。関わりたくない。
翌日から、私と新藤は『大型カップル』として学校で公認になった。不思議なもので、それ以来私のことを『巨人』とか『可愛くない方』と呼ぶ子はいなくなった。一人の男子に認めれたことは、こんなにも私の評価を変えたのだ。
陽菜は常に遠くから何か言いたげな視線を投げてきたが、あの日以来私は陽菜を無視し続けた。そんな中、陽菜が学校に来なくなった。
1週間後、私は学校を休み続ける陽菜を見舞いに、陽菜の家に寄った。もう顔も見たくなかったが、担任にお知らせのプリントを持たされたのと、もしかしたら私が冷たくしたから休んでいるのかと、少々気にもなっていたからだ。
陽菜は自室で、壁の方を向いてベッドに横になっていた。
「体調は悪くないのよ。でも、学校には行きたくないの一点張りで。陽菜ちゃんからもちょっと言ってやってくれない?」
陽菜のママがお茶を置いて出ていくと、私は少々意地悪く陽菜の背中に言った。
「どこも悪くないんでしょ? なんで学校に来られないのよ?」
答えはない。
「私が無視してるのが原因なの? でも、そうさせたのはあんたよ」
陽菜が寝返りを打って私を見た。
「ごめんなさい。私……」
陽菜の目が腫れぼったくて、うるうるしている。こんなときにも小動物のように“守ってオーラ”を連射する陽菜に、私はイライラした。
「陽菜のこと好きな男子はいっぱいいるんだから、私の彼氏にこだわらないで、あんたも誰かと付き合ったらいいんじゃん?」