「いあっといっすおるおく~
おみっちふっそおど~
おえあも、いあっといっすおるおく~」
急に歌い始めた女の子に流石の亜佐美も驚き戦いていた。
「ちょ……ど、どうしたの??」
不気味な鞠唄には誰だって怖れるのは当たり前だ。だがこの場にいる誰よりも、事の経緯を知る自分が何よりも恐怖していた。
きっと顔が真っ青に違いない。
死ぬんだ。そう直ぐ思った事実にも尚更に恐怖を煽られるのだ。
幼女に対する声掛け。
そんな犯罪紛いをして今は付きまといだ。
本当に僕は何をやっているんだ。
あの子が歌った後、ずっと隠れて亜佐美の後を追い掛けている。
ストーカーだなんて最低な行為だと自分は思っていたが、もうどうにもならない位に心配で付け回している今の自分を考えると。
やはり同類だ。自分に幻滅だ。
亜佐美に声を掛けて一緒に行動すればいい。怪しまれない程度には信頼されているだろうけど。
どうして? と彼女に訊かれたら何とも答えようがない。
悩んでそのまま結局、探偵紛いに尾行したまま。気付けば夜まで付きまとっていた。
しかしなんだ、亜佐美はふらふらと出歩いているもんだ。落ち着いて早く家に帰ればいいものを。
取り巻き達と一緒かと思えば今は一人でのこのこ歩いてる。家路かな。帰ってくれたらいいが。
……それでも鞠唄の不安は消えない。