白戸裕二。真紀の言ったとおり学年で常にトップ10に入る頭の良い男子生徒だ。けれど私が好きになったのはそこじゃない。
別に特別な事はされていない。ただ、男子たちが私を敬遠する中で、白戸君は全くそんなことなく普通に接してくれるからだ。
「でも気持ちは伝えた方がいいと思うよ。人気あるからね白戸君。今はフリーっぽいけど、誰かに取られちゃうよ。」
「・・・。」
まぁ、それはそうだ。
しかしだ。
伝えた所で、である。
「とりあえず言ってみないと分かんないじゃん。OKされるかも分かんないし、超過保護な家族もちゃんと話せば分かるかもよ。」
「そうかなぁ。」
「うちらもう高校生だよ。恋愛の一つもさせてくれない家族なんて家族じゃない。」
「変わんないような気がするなぁ。」
「とりあえず言ってみようよ。邪魔しないでって。分かってくれるかもしれないじゃん。」
「・・・。」
分かってくれなかった。
「誰だ、そいつは?!」
兄も父も鬼のような形相をしてこちらを見てくる。
「・・・。」
やはり言うべきじゃなかった。
「聞いてないぞ!」
と、父。
「だって言ってないもん。」
「お前に釣り合うわけないだろ!」
と、兄。