小説

『時には、必要、かもしれない』真銅ひろし(『鉢かづき姫(寝屋川市)』)

 なんとなくは予想出来てたけれど、まさか昨日の今日でもう真紀に連絡してるとは思わなかった。そして真紀には昨日の事を説明した。
「・・・なるほどね。で、どうすんの?告白するの?」
「家族には勢いで言っちゃったけど、どうしよう?」
「せっかくだから言っちゃえばいいじゃん。」
「白戸君に迷惑かからないかな?」
「成功してから考えたらいいじゃん。」
「・・・まぁ、そうだね。」
 昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
 予想以上に家族の動きが速い。このままでは相手を特定されるのも時間の問題かもしれない。


 告白。
 それは始めての事だ。された事はあるけれどしたことはない。しかもずっと心に秘めていた相手。
 家族のお節介の煩わしさはあるけれど、何よりも告白に緊張する。
 フラれたらどうしよう・・・。
 急に不安な気持ちがこみ上げてくる。
「・・・。」
 けれど、すると決めたのだ。


 次の日。
「なんか夢華の父親に話しかけられたんだけど。」
 クラスメイトの一人が半笑いで言ってきた。
「は?」
「好きな人は誰か分かる?って。」
「・・・。」
「知らないって答えておいたけど、それでいい?」
「あ、うん、ありがとう。」
 マジか・・・。
 完全にイカれている。その後何人かから同じような事を言われた。

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