小説

『時には、必要、かもしれない』真銅ひろし(『鉢かづき姫(寝屋川市)』)

「私何様なの?普通の女子高生ですけど。」
「絶対にやめなさい!」
 ふたり揃って言ってきた。
 やはりこの二人は中学の頃から何も変わっていない。
「っていうかさ、なんでそんなに人の心配ばっかりするの!?関係ないじゃん!」
「娘の心配をするのは親として当然だろ!」
「妹の心配をするのは兄として当然だろ!」
「・・・。」
 聞くだけ無駄だったのかもしれない。
 ただ、今回は反抗してみようという気になった。これ以上この人たちの好き勝手を許すわけにはいかない。
「でも好きだからやめないよ。告白もしようと思う。」
「えー!」
 二人共驚きの声を上げたが、構わずにそれだけを伝えてその場を去った。
「ちょっと待って!!」
「ダメだって!」
「考え直せって!」
「危険だって!」
「夢華!」
 後ろで騒ぐ声が聞こえたが無視した。

 大丈夫、相手までは知られていない。
 一緒に帰ってもいないし、名前も出したことないから探そうとしても無駄だ。
「ねぇ、昨日夢華のお兄ちゃんから連絡来たよ。」
 真紀が怪訝な表情で話しかけてきた。
「嘘でしょ!」
「夢華に好きな人が出来たんですかって?」
「・・・なんて言ったの?」
「知りませんって。」
「そう、ありがとう。」
「相当焦ってたね。」
「そのまま知らないふりでお願い。」
 真紀はグッと親指を立てる。

1 2 3 4 5 6 7