「あ、すみません。悩んでらっしゃったから気になって……。子猫、ですか?」
「いえ、もう四歳で、父が飼っていたんですけど……──」
そうして一通り事情を話すと女性は陳列棚を一瞥して、青いパッケージのものを一つ手に取って見せた。
「だったら、これなんかどうでしょう。一番無難かなって思います」
「そうなんですね……俺まだよく分からないし、これ買ってみます」
「ミソちゃん、気に入ってくれるといいです」
そう言って笑った彼女の笑顔に、俺は何年かぶりに胸が高鳴るのを感じた。俺はお礼を言うのも忘れてしばらく彼女に見惚れていた。
──まさかミソは、こんな幸運も運んできてくれたというのだろうか。
俺はここにはいないはずのミソが、誇らしげに「にゃあん」と鳴く姿が浮かんでくるようだった。