灯くんは、今日見たあの壺と同じなのだ。鳥や木や花に守られた壺。中に何が入っているか、はたまた空洞なのかは誰にもわからない。灯くんにしかわからない。けれどそんなの彼に限らず、全ての人が同じなはずだ。そういうことを忘れてはいけない。 「あ……海、見て、大きな鳥が飛んでいる」 「え? ああ、あれは夜間飛行だよ」 「夜間飛行……そっか、飛行機かあ」 灯くんはきらきらした目で空を見た。壺の中にひょいと煌めきが放り込まれたのを、私は見た。 煌めきでぎゅうぎゅうになればいい。 5/5 前のページ 10月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5