小説

『めんこい』多田正太郎(『雪太郎』)

ほら、何と言うかなぁ、筋書というのか・・。
筋書かよ!
うーんまぁ、話の流れっていうのか・・。
話の流れかよ!
ああ。
じゃー、その流れってのを聞かせろよ!
まぁ、いいけどよ。

春になり、雪が溶けると、雪太郎は・・。
分かったぞ!
そうかぁ、そりゃー良かった。
名前変えて、草太郎に、これだろう!
うっ・・お前・・いや、もういいわ。
えっ、違う雰囲気だなぁ。
そうではなく、いなくなったのよ、雪太郎が。
へー、そんな恵まれた長者家からかぁ?
ああ。
どうしてだ?
どうして、だと!
ああ、どうししてだ、疑問に思うべ、普通。
そこが物語の、醍醐味、クライマックスだろ。
いっでも、たち去る者は格好いい、これだな。
何だそれ?

♪・・いつもいつも
 立ち去るものだけが・・
 残されて・・

ほら、こんな歌みたいによ。
本当に・・もう・・いいわ、相手するのさ。
俺のことみたいだけど、機嫌直せよ。
うっ・・、機嫌・・期限・・。
ああ、機嫌を直してよ、話の続きをよ。
期限・・、そうだつたな、よし続ける!

長者の老夫婦。
すっかり気落ちして・・。

なんだかよ、寂しい話だなぁ。
だろ。
ああ。
だから、寂しい日々だろ。
うーん、確かになぁ。
だろ。
初めから子供がよ、いなくてなら・・。
なんだ?
そんなものだと、日々の生活も・・。
一度、めんこい、子供がなぁ・・。
だろ。

そうかぁ、雪太郎なぁ。

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