小説

『時の流れ』広瀬厚氏(『浦島太郎』)

「こらこら亀をいじめちゃかわいそうだよ」浦島太郎は昔々の浜にいた。永遠は一瞬に有った、手に玉手箱は無かった。彼は子供たちから亀を助け海に帰してやった。
「きっとそう言ったことであろう」
 と言葉にしてはみたものの、どう言ったものか、それは決して言葉では言い表わせない妙な何かで有った。

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