ツイート 刹那――また、病気のように足がすくんで、電車に乗りそびれてしまった。 ホームドアが閉まり、続いて電車のドアも閉まった。 ガラス越しに冷たい視線を送り続ける美女に、俺は叫んだ! 「ツキシロアヤノ! アンタ一体何者なんだッ! このパスモはッ! このパスモは一体なんなんだよッ!」 俺の虚しい叫び声は、ホームの客を驚かせる効果しか無かった。 美女を乗せた各駅停車が遠ざかっていく。 結局俺に残ったのは、もう使えなくなった謎のパスモと、臆病極まりない自己の性格だけだった――。 9/9 前のページ 8月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5 6 7 8 9