うちの大家はマフィアかどこぞのシンジケートの長なのか!? そんな人が以前のこじんまりとしたアパートなんか経営してた!?
「でもね~シンちゃん。ここにきて問題があってね。流石にここまで私が増えると店でも人が余って余って……私が飽和状態」
使い方が何か変だぞ、その飽和状態。俺の精神が飽和状態だと言い返してやりたい。
しかしそれは本当に大問題だ。未だにチヨコは増え続けている。一々俺に新しいチヨコが挨拶に来るのが鬱陶しい位に。
「たくっあの女占い師のせいだ。どうしたら良いんだ……」と俺は頭を抱えた。
「そうか! あの占い師さんに言えばいいのか」とチヨコがポンと手を撞いて言った。
「だが何処探してもあの占い師は見つからんし……」
「占い師さんの電話番号なら二十号が知ってるよ~。メル友だって聞いてるし。ねぇ二十号? そうだよね?」
と話していたチヨコが隣にいたチヨコに話し掛けた。
て、二十号ってさっき生放送に出ていたんじゃないかい!? なに小さな詐欺を働いてるんだ、お前は!!
「うん知ってるよ」
「本当か!? ちょっと電話してくれ俺が話すから!」
二十号が電話すると直ぐさま占い師が出たようだ。
「――もしもし?」
「あ、チヨコの恋人でこの間に……」
「――あー! チヨコさん達の彼氏の? どうされました? 順調にチヨコさんは増え続けてますか?」
「順調じゃねぇよ! どうしてくれんだこの状況! 何で増え続けるんだ!?」
「――そう申されましても貴殿の願い通りにしているだけで」
「とにかく止めてくれ! 占い師では似非でも力は本物なんだろ!? 何とかしろ!」
「――え~MJK。そんなこというのメンブレなんすけど~。もっちと誠意みせろと思うすんけど~」
何だ急にJK紛いの言葉遣いは!? 俺が似非とか言ったのが気に障ったか?
「ねぇシンちゃん。聞いていて思ったんだけど」とチヨコが横から口を出してきた。
「えっ? なに」
「シンちゃんはずっと増え続けて欲しいとは言ってないもんね? 増えていったらとは言ったんだよね? それだと“何処まで増えていったら”としないと願いが叶わないという事にならない?」
「――あーそう言う解釈も出来ますね~」