―――ミニスカを履く女の子と付き合うとだらしなくなるとか、ボーイッシュな女の子は女らしさがないとか、化粧なんてするのはバカとか、成人しているのにヒールのない靴を履くのは社会人失格とか、私のガールフレンドにまで、それはそれはご立派な注文を付けていましたよね。
―――ずっと疑問だったんですけど、お父さんにとって「みっともなくない」て、どういう状態なんです?
―――お父さん。私ね、疲れちゃったんです。
―――あれはダメ、これは違う。でも、正解はない。そんな風に「みっともなくないように」いるの、疲れちゃったんです。
―――訳の分からないですか。はあ。そうですか。じゃあ、仕方ないですね。
―――私のことは、もう、息子と思わないでください。その方が楽ですよ。
―――帰りません。帰りたくないです。貴方だけが居心地がいいそこは、私の家じゃありませんから。
―――今までお世話になりました。さようなら。