小説

『はじめのモモ』みしまる湟耳(『桃太郎』)

がっぷり四つのタタカイになった

モモヲ タベタい
モモヲ ナクシタクない

モモヲ クチニ入れたい
モモヲ ナクシタクない

赤オニ 青オニは タタカッタ
暗い夜も、明るい朝も
繰り返し繰り返し タタカッタ タタカッタ

腕を合わせ
体をぶつけ
投げまきこんで
もんどりうって
ぐるぐるまわって戦ううちに

いつのまにか巨大な2体は
おんなじ色の紫になっていた

つかれ汗をかき塩をふき
どすんとしりもち
あぐらをかいて

後ろ手をついて

息絶えた

紫のオニたちは
動かなくなった

そうして残った黒いコオニたちが
アリのようにいっせいに
モモにたかりだした

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