ツイート 僕は悲しくなって母の胸から口を離した。母の目を見つめる。どうしてこんなに醜い表情をしているのだろうか。またいつものように、女神のような美しい笑顔を見せてくれたらいいのに。 僕は口づけしようと、彼女の唇に顔を近づけた。その時、世界が一瞬、揺れたような気がした。母の顔がかすんで意識が遠のいていくのが分かった。だしぬけに涙がこぼれて、その滴が母の頸筋に流れた。そうして僕は、母の体の上に倒れた。 7/7 前のページ 3月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5 6 7