そんな、余力と猶予が・・・。
と、男は思った。
そして、寝入っていた。
インゲン豆を貪り食っていた。
何皿も何皿も。
なんぼ食っても、腹は満たされない。
突然の、叫び声で目が覚めた。
なぜか、ジャックの父親としてだ。
死ぬ、朝だ。
と、男は、感じだ。
ぞろぞろと食い物を探す、群れの叫び声。
「食い物! 食い物! 食い物!」
せわしく、食い物をあさる目が、ギラギラと、末期的な目線を漂わせて。
既に、四足だ。
その群れが、男に、向かってきた。
男は、豆の木に飛びつき、登り続けた。
登りながら、今朝のあの寝つきの。
どんな、どんな、どんな・・・。
を、思い出していた。
天空の怪物に食われた、「ジャックと豆の木」の父親の死って、どんな死だった?
猛烈に抵抗し、戦い、死んたのか?
自分の死を、納得していたのか?
まてよ、今、こうして天空に突き刺さった、豆の木を、登っている。
なんで、この俺が?
ジャックの父親?
ジャック本人?