小説

『豆の行方』多田正太郎(『追儺』森鴎外、『ジャックと豆の木』)

 聞かされたのは、それだけだった。
 勿論、依頼人を深く詮索する必要もないが。
 ゴーストだったて、ライターだろ。
 そんな思いを持ったのは、遠い昔のことだ。
 食えれば、いい。
 今は、それだけだ。

『 アフリカで知り合った、国際機関の現地人案内人が言った。
 苦渋の表情を浮かべながら、話しだした。
「飢餓が世界中に迫ってます。貧困なものはその貧困さを増し、結局のところ飢餓という悪魔が、口をあけていることと、なるんですよ。
おおよそ、八億人に、食糧がいきわたらないのです。
そのうち、十分の一に、餓死が迫ってます。
いや、死んでいます。
毎年、数百万人でしようか。
信じられますか。
買えない、からなんです」
「買えない・・」
「ええ。量はあるんですょ。
贅沢を言わなければ食糧は、そこそこ満たすだけの量は、世界で生産されているんです。
一度、餓死の現場にご案内しましょう」
「えっ、餓死の現場ですか・・」』
 ここまで書き上げたのは、今朝だった。
 そしてすぐさま、ベッドに滑り込んだ。

 天空の怪物に食われた、「ジャックと豆の木」の父親の死って、どんな死だった?
 猛烈に抵抗し、戦い、死んたのか?

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