小説

『豆の行方』多田正太郎(『追儺』森鴎外、『ジャックと豆の木』)

《・・・小説といふものは何をどんな風に書いても好いものだ・・・。》
 と、断案したり。
 盛りだくさん。
 でも、「追儺」?
 鴎外先生よ、鴎外先生よ。
 何処からともなく、豆がコロコロ。
 一粒の豆。
 そして、バラバラと。
 無数の豆に。
「福は内、鬼は外!」

《遠いエデン行きの~♪》
 男は、この歌が、気に入っている。
 豆の、利益?
 いや、豆で、利益だろ。
 エデン、そう、エデンの東。
 と、男は自分に、言ってみた。
 ジャックが、追い求めた、のも。
 父親の、愛?
 自分の心の形に、合うように。
 元話を、語りなおした、誰かが。
 盗みと、殺しの、復讐物語に。
 いやいや、自らの給し足しを、称える。
 悟りの、後日談に。
 いずれも、「ジャックと豆の木」、だ。
 男は、ドキュメンタリーの、シナリオ構成を、書き上げる、こととした。

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