「そっかそっか、ま、とにかくあがってよ」
中に入ると12畳程のワンルームになっており、応接用のソファーと事務机が3つあるだけの生活感は全くないものだった。
「わぁ、事務所って感じですね」
「ははは、そりゃ事務所だからね。あ、そこのソファーに座って」
僕と和泉が並んでソファーに座ると、向かいのソファーに洋介さんも腰かけた。
「で、俺のお祝いの前に、えっと和泉さん」
「和泉 万梨阿です」
ハキハキとした口調で和泉は名乗ると、一度頭を下げる。
「マリアちゃんね。住む所が無いからあの場所を貸してあげてくれないかって江藤くんに言われたんだけど」
「何の面識も無いのに失礼だとは分かっていますが、本当に今行くアテが無くて困っているんです」
しっかりした女子だとは思っていたが、僕の前よりずっと大人びた話し方をする和泉に少しドキッとした。
「別に江藤くんが良いならあそこに住んでもらうのは全く構わないけど、でも、あんな所に女の子が一人暮らしなんてな」
「私なら大丈夫です。とりあえず、次の行く場所が決まるまでの間で良いので、お願いします!」
今度は深く頭を下げる。
「行く場所って。キミ、まだ未成年だろ?保護者の同意が無いと色々難しいだろ」
「……………」
黙って俯いてしまった和泉を見て、洋介さんはソファーの背もたれに腕を置き、暫く何か考え込んでいた。
「キミってさ」
長い沈黙の後、突然洋介さんが声を発した。
「あ、は、はい」
慌てて和泉が顔を上げる。
「パソコンってある程度触れる?」
訝し気な表情をしつつ和泉は「はい」と答える。