たばこ臭い息が鼻をつく。
「わたしはこういう者です」
手帳の表紙を俺の鼻面につきつけるように差し出した。
「け、警察が何のようですか」
「ストーカーの被害届がありましてな」
「ストーカーって何ですか? ぼくは何もしていません」
「そのカメラは何かな?」
「そ、空を撮っていただけですよ。夕空は美しいですからね」
「まあ、署に来て話を伺いましょう。美しい空の写真も拝見させてもらいますよ」
俺の後ろには別なおっさんが立っていた。
俺は二人の刑事に両脇を抱えられ、覆面パトカーへ向かって引きずられるように歩いていった。