「なんか最近学校やだね」
シホからのメール。
「学校なんて前からいいとこじゃなかったよ」
「それはそうだけど、前よりもっと、息苦しくなった感じ」
「Ｋのせい？」
メールであっても幸太郎のことを話題にするのは憚れる。
「みんな怖がってる」
「たしかに俺も怖い」
正直に書いた。
「でも、しゅんくんは友だちじゃん」
「元だよ……。三年前何もできなかった。それを恨まれてないかと……」
「大丈夫だよ。Ｋはわかってくれてると思うな。たぶんＫは私たちの全てを分かってらっしゃる。私たちの想像も及ばない存在だよ」
シホの言い方に違和感を覚えた。最近、学校でもこんな風にＫを敬うよな喋り方をする生徒が増えてきた。昔は冗談半分にこういう言い方をすることもあったが、今では痛いほど真剣みを帯びている。
みなＫに気に入られようと必死だった。自分だけは災いを避けようと、仲間を告げ口する者まで現れたとも聞く。みな疑心暗鬼になっていた。Ｋの存在にがんじがらめに縛られていた。息もつけないほど。
「そうかな……」
「きっとそう、だって聞いた？ あの噂。Ｋが猫を生き返らせたはなし」
「ああ……」
その噂なら知っていた。