
「整形を繰り返して一体なにが得られるっていうの?」「得るものなんて、何にもなくていいよ。あたしは自分の要らないものをなくしてるんだよ。そのために整形してるの」「モモちゃんがいらないものってなに?」「今は蒙古襞かな」整形を重ねる主人公・モモと、その彼氏・慧の話。
娘の琴音と二人で暮らす織子には、悩みがあった。日々の家事と育児、仕事に追われ、一日に琴音と向き合えるのは、幼稚園の行きと帰りに月を見上げるほんのわずかな時間だということ。でも、いつかきっと、月から金の鎖がおりてきて、私たちをここから引っ張り上げてくれる——そう織子は信じていた。
男の叔父は北の漁村で人魚を買い海難事故で死亡した。葬儀翌日、母が失踪した。老婆に人魚の因縁だと謗られた男は漁村を目指す。道中、人魚の奉納蝋燭が祭られた廃寺に泊まった男は漁村への定住を決めた。翌年、海への恐怖で船に乗れない男が浜で網を引くと、人魚と思しき幼子が網にかかった。
中山家に嫁いだ亜子は、結婚当初こそ幸せを感じていたが、昼食をきっかけにして姑との関係性が悪化してしまう。子育てのストレスも加わり精神的に限界を迎え夫に相談すると、夫から手渡されたのは白い毒薬であった。それを毎日、姑の昼食に混ぜれば三か月後には死に至るそうだが……
浦島太郎の失踪。この事件は、村に大きな波紋を呼ぶ。優秀な漁師であり、年老いた母と二人で暮らしていた浦島太郎。その失踪は、貧しい漁村に暮らす村人に、ある大きな問題を投げかける事になる。すなわち、太郎の母親をどうするのか?それが気になってしまった亀は、浦島太郎の村に戻る事にした。
蟻の巣に水を注いで遊ぶ子供たち。その姿を見た俺は彼らを咎めた。その翌日のこと、女性に化けた蟻が家にやって来た。蟻いわく、恩返しに来たらしい。断っても引き下がる気のない彼女に押し切られ、身の回りの世話をして貰うが……
うちの祖母は僕が幼い頃、よく可愛がってくれていた。そんな祖母が病院施設に入ってしまい面会で会う度に昔の思い出が蘇ってくるのだった。
最愛の娘は池の主である白蛇だった。ある日突然姿を変え、そのまま池に飛び込んでいってしまった。やっと授かり、大切に育ててきた娘を失った柊子は娘への想いやその日の出来事をノートに綴ることで悲しみと向き合う。やがて柊子は、姿が変わっても愛する娘への想いは変わらないことに気付くのだった。
二十歳の誕生日、俺は父から衝撃の事実を告げられる。俺の家系の長男は、キュウリを食べるとカッパになる呪いにかかっているというのだ。この憎き呪いのため恋愛を諦めた俺の前に一人の気になる女性が現れるが、ふとしたきっかけで彼女の前でカッパ男に変身してしまう。