○選んだ作品:
『名前って、ふたつ以上の鐘の音』入江巽(『ラムネ氏のこと』坂口安吾『赤と黒』スタンダール)
○選んだ理由:
こころが自由になりすぎてどうかなりそうでした。小説の中でこんなに夥しいぐらいのコンドームって名詞を読んだのははじめてで。何気なく弾んでいたら空まで飛んで行ってしまったような底抜けさがうらやましくって。無言で読んでるのはもったいないので、勝手に町田康さんの詩の朗読のように頭の中に響かせて楽しんでいました!ほんとうにめっちゃすき!
第4回ブックショートアワードの最終候補者の皆様に、ご自分以外の作品のなかで最も面白いと思った作品をアンケートで答えていただきしました!
(順不同 / ご返信いただいた方のみ記載)
○選んだ作品:
○選んだ理由:
こころが自由になりすぎてどうかなりそうでした。小説の中でこんなに夥しいぐらいのコンドームって名詞を読んだのははじめてで。何気なく弾んでいたら空まで飛んで行ってしまったような底抜けさがうらやましくって。無言で読んでるのはもったいないので、勝手に町田康さんの詩の朗読のように頭の中に響かせて楽しんでいました!ほんとうにめっちゃすき!
○選んだ作品:
○選んだ理由:
名前のないものは存在しないことと同じらしい。みうらじゅんが名づけるまで「ゆるキャラ」は単なる地方の薄汚れた着ぐるみだったし、氷を表す言葉を数十語使い分けるエスキモーと我々の目に映る「氷」は別物だ。多くの殉教者の下私たちの生があり、そのすべてに”絢爛にして強壮な思索”が流れているのだと気づかせてくれる。(結城)
「田中コンドーム・ジュリアンは、常に、ちょっとすねたまま、大きくなった。」と作中にある通り、まさに「ちょっとすねた」ような語り口が心地よい作品でした。名前というのは自分で選ぶことができないのに人前で強大な威力を発揮する理不尽な設定ですが、自分という存在もまた、好きでそうなったわけじゃないのに途中でやめるわけにもいかないわけで、そう考えると、名前を肯定することと自分を肯定することは似ているのかもしれません。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
原作を読まれてお感じになったことが深くおありなんだな、と、真っ直ぐなオマージュだなと感じました。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
描写が丁寧でとてもいいと思いました。UFOキャッチャーで3000円使う場面は、本当にいいと思いました。ただ、描写が丁寧というのは、別の言い方をすると、リアリズムを大事にしている、ということなのではないかと思います。そう考えるとき、描写が丁寧なのに、30過ぎた男女の性愛のリアル感があまりないのは、すこし気になりました。最終的にセックスするのなら、かつて優位であり欲望されていたひと(木塚さん)の現在のショボさ、くだらなさがもっと書かれてもよいような気もします 。つまり、語り手がかつて憧れていた木塚さんの、現在のショボさを見下す快感と退廃とが書かれてもよいような気がした、ということです(この小説の場合、特に教師と教え子の関係なので)。木塚さんは50くらいのおじさんで、たぶん恋などではなく、明確に下等な心を抱いて、ホテルを予約したはずです。語り手をけして愛していないはずです。こうしたことが曖昧なまま進んでいくところが、すこし歯がゆい気がしました。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
ありそうでなかった物語で、オチが平凡でありつつもたぐいまれな描写力で最後まで読ませる筆力とそのオチと物語を非凡なものにするだけのアイデアとキャラクターの動きがありました。全体を通じて、一番才能のある書き手だな、と思いました。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
名前の付け方や口調が面白く、海外文学を読んでいるような気分になり、坂口安吾を入れてくるところもしっくり来て良かったです。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
軽妙な語り口は読み手を飽きさせず、随所に散りばめられた諧謔は、気持ちのよい笑いの時間を与えてくれました。とても楽しい作品でした。
○選んだ作品:
○選んだ理由:
感想下手なので魅力をうまく伝えられないのが情けないですが、著者特有の文体の温度がとにかく絶妙で、ほんとうにちょうど人肌くらいのほぼ体温みたいな温度なのか、熱くも冷たくもないそれが心地よく体に浸透し、それはどの場面をとってみても愛おしく、悲しくて滑稽で優しくてロマンチックで、心が震える作品でした。アルベールがトミコの妊娠を聞いて無邪気に喜ぶ場面や、ジュリアンが苗字を打ち明ける場面などはとくに素晴らしくてたまらなくて鳥肌が立った。何回でも読めばその度に鳥肌が立って、目が潤むのだろうと思います。最高でした。