私は伊勢崎町のとあるバーで、神田さんというピアニストとバーの女性オーナーに出会う。神田さんはなぜか私に高校教師時代の昔話を語り始め、私はその話を聞くためにそのジャズバーに通うことになった。これは、そんなピアニストと女性オーナーと謎めいた女性客の物語。
それは偶然に見かけた女の子。その子が唄う手鞠歌に気を惹かれると共に妙な違和感を覚えたのだ。
朝、花子が慌てて家を出ると、出会い頭に太郎にぶつかる。拍子に、人格が入れ替わる・・・わけもなく日常が続く。その帰り、二人はまたぶつかってしまい、抱き合いながら階段を落ちてしまった。とうとう人格が入れ替わってしまった・・・と思ったらやっぱり日常が続く。
大村誠は「会いたい」と願うと魂が抜けて会いに行くことができる体質。そんな大村に翠という恋人ができた。二人は時に生身の肉体で、時に魂で逢瀬を重ねた。いよいよ大村はプロポーズをしようとするが、警察に誤認逮捕されてしまい、約束の時間に間に合わない。てなわけで魂になって会いに行く。
屋上での準備中、後輩の亀山君に話しかけられ、誘われたのは、四季の移ろいを眺めながら酒が飲めるという、豪勢な旅館だった。その旅館の広々とした窓から望める景色は、次から次へと移り変わり、ありとあらゆる四季の美しさを私に魅せる。そして私は決意する。
酒とギャンブルに溺れる父に愛想を尽かした母は、僕が子どもの頃に家を出て行ってしまった。残された父と二人で暮らす生活だったが、父を恨む僕はろくに親子の会話を交わすことがないまま十八歳で家を出た。あれから十年の時が経つ。父との再会のきっかけは、父が入院する病院からの連絡だった。