『冬の湖』
千田義行
(『三湖伝説(八郎太郎と辰子姫)』(秋田県大潟市、仙北市他)
ピアニストを目指していたあさみは挫折し就職先でも馴染めず、全てを捨てて日本で1番深い秋田の田沢湖を目指して片道だけの旅行をしていた。目的地はふたつ。その1つ目は”語り部”のお婆さんがいる民宿。もうひとつの目的地に辿り着けば、もう帰ることはないと決意していた。
『鬼婆』
前田涼也
(『鬼婆伝説』(福島県二本松市))
山と城しかない田舎の警察署に、老女が自身の罪を自首しに来た。「人の命を奪ってしまいました」という彼女は、民宿で妊婦を殺してしまった経緯を話す。彼女の供述を聞いた伊藤は、何が真実であるのか分からなくなっていく。
『京都エキストラシネマ』
白紙
(『更級日記』(京都))
母が話す京都でのエキストラ体験に憧れて、私は京都の大学に進学した。でも思い描いていた理想ほど、現実はうまくいかない。
『僕らはみんな』
笹木結城
(『カチカチ山』(京都))
残虐なタヌキをウサギが成敗する民話『カチカチ山』が人間による実話だったとしたら、その子孫はどんな生き方をしているのかを描いています。タヌキは本当に極悪非道だったのか、ウサギは正義のヒーローとして語り継がれているのか、子孫たちの視点を通して感じていただければ幸いです。