『胎児の夢』
和織
(『ドグラ・マグラ』『青ひげ』)
ストーカーによる誘拐と監禁。不自由のない不自由な生活。彼女は逃走を諦め、大人しい囚人になった。しかし恐怖がぶり返すと、疲れが睡魔を呼び、夢が蘇る。
『私、パンツを被るのが好きなの。』
久保ちょこら
(『嘘をつく子供』)
「私、パンツを被るのが好きなの。」長年交際していた圭太に「普通すぎる」という理由で振られた美里は、初めて参加した合コンで嘘をついてしまう。意外にも盛り上がってしまったこの咄嗟についた嘘は徐々にエスカレートしていくことに…。
『思い届くまで』
霜月透子
(『赤ずきん』)
私は友人のユリと暮らしている。ある時、ユリ宛ての手紙を直接自宅の郵便受けに入れる赤城という男を目撃する。私は赤城に一目惚れをし、好奇心からユリ宛ての手紙を読んでしまう。そこにはユリを忘れたことなどないという内容が書かれていた。私はユリを装って赤城と文通を始めた。
『タマコ』
洗い熊Q
(『支那の画』)
高校生の二郎はアルフォンス・ミュシャの絵を見て、次の絵画出品のモデルを決めた。
『ホイッスラーと紙飛行機』
もりまりこ
(『葉桜と魔笛』)
あのちいさな戦争が終わった後、サバイバーたちの幾人かは口笛を吹く人、ホイッスラーになっていた。志麻は妹の密をなくしおまけに声を失くした人になっていた。好きなホイッスラーに逢いたくて、彼女はとあるカフェに通うことにした。