『ある魔女の話』
まる
(『ヘンゼルとグレーテル』)
多くの種族が暮らしているとある世界に一人の魔女がいた。与えられた仕事をしっかりこなしていった。が、この仕事に少し思うところがあるようで・・・。そんな時、彼女に一つの仕事が入る。
『新宿夕景』
緋川小夏
(『かぐや姫』)
かつての友人から届いた個展の案内状には、見覚えのある住所が書かれてあった。それは「俺」が、かつての恋人「サヤカ」と一緒に暮らしていた古いアパートがあった場所だ。懐かしい思い出に導かれるように、個展会場へと足を運ぶ。そこで「俺」が見つけたものとは……。
『ふりゆくものは』
新発田瞳
(『雪女』)
貧しくも実直な青年巳(み)之(の)吉(きち)は、ある吹雪の夜、雪女と出会うが、
誰にもその話をしないことを条件に見逃される。その後彼はお雪と名乗る美しい娘と出会い、共に暮らすようになるが、彼女には幾つかの不審な点があった――誰もが知る「雪女」の物語、そして誰も知らない真実。
『鬼我島』
木暮耕太郎
(『桃太郎』)
鬼退治のために鬼ヶ島に上陸した桃太郎。桃太郎を待っていたのは屈強な悪鬼ではなく質素に暮らす心優しい老鬼だった。桃太郎は老鬼の願いを聞き入れるが、その後奇妙な運命をたどることとなる。
『めんこい』
多田正太郎
(『雪太郎』)
だから・・冬、雪のある間の、限定でさ。雪のある間の限定だとー? ああ、限定だ。銘菓との評価の高い、雪太郎なのに・・。ああ、限定なのさ、固く守られているさ。ふーん・・。冬・・雪・・雪太郎・・。限定。ああ、限定。これってよ、限るってことだよなぁ。ああ。
『ラグナグの鏡』
風呂屋龍乃介
(『ガリバー旅行記 第三篇』)
近年、外見だけは若さを保つことが出来る薬が開発された。中身は若者なのか老人なのかわからない。「俺」は今西さんに恋をするが、彼女は老人ではないかと疑い始める。彼女に惹かれつつも、「老人疑惑」が頭をもたげ、激しく葛藤する。そんな中、とある事件が起こり、二人の運命が動き出す。
『ハウ・スウィート』
三坂輝
(『酸っぱい葡萄』)
同業他社の友人が約束の時間に店に来ない。怒る気もしないのは、友人が勤める会社は、仕事が絶対に大変なはずだから。しかし、実際のところ信じるべき理由はない。友人の会社が大変だと思う理由は、自分が落ちたやっかみだった。本当にその会社は大変なのか。いよいよ友人がやってきた。
『エピジェネティクス』
掛世楽世楽
(『変身』)
パワハラを受け、自宅で引きこもり生活を送る男性に異変が起こった。肌は緑色になり、鼻が長く尖り、体毛は全て抜け落ちていく。男性は世界中で自分と同じ症状の人が発生していると知る。「これはいったい・・・」ゲーム仲間の教えてくれた真実は、予想だにしないものだった。