『デジャヴ殺人事件』
aoto
(『赤ずきん』)
少女は体調の悪い祖母の家へお見舞いに行った。少女が祖母の身の回りのお世話をしている最中、先ほどまで元気だった祖母が倒れているのを発見する。祖母を失った悲しみから気絶した少女が目を覚ましたとき、今日の朝によく似た朝が再び訪れていた。
『ヒメゴト』
砂部岩延
(『鶴の恩返し』)
旅先で怪我した鶴を救ったが代わりに財布を失った。後日、失くした財布を届けに美女がやってきた。成り行きから始まった共同生活は順調だったが、どうしてこんな美女が、という疑心暗鬼を拭い切れない。しかし誰しも秘密はある。一緒に居たいという彼女を信じて、二人で幸せな家庭を築いた。
『めだま』
広瀬厚氏
(『鼻』)
骨董屋を経営する佐藤浩は目玉焼きに目がない。毎朝目玉焼きを食べなければ気がすまない。目玉焼きの食べかたにもこだわりがある。そんな彼がある朝、珍しく妻の意見を聞いて、ゆで卵を食べることとなった。ゆで卵の殻を割ると、なんとそこから、店の常連客である加藤晃のものと思われる目玉が現れた。
『レモン』
こさかゆうき
(『檸檬』)
私は少し前から、すぐとなりに座っている若い男の前に置かれた皿に密かな
興奮を抱かずにはいられなかった。ちょうど、上品なサイズのケーキを乗せられるくらいの小さな丸い皿。その上に、焼きそばや唐揚げ、サラダの葉っぱや千切りの大根やにんじんといった料理がところ狭しと盛られている。
『笠地蔵と飯盛女』
宮城忠司
(『笠地蔵』)
信州追分宿で飯盛女として春をひさいでいたおせんは、馴染客から知恵を受けて飯山まで逃亡したが行き倒れになった。お爺さんが町からの帰りに、寒かろうと雪まみれの地蔵さんに笠をかぶせた。翌朝、お礼に地蔵さんが運んで来たのは、息絶えだえのおせんと米三俵だった。お爺さんとお婆さんは…
『笑い顔の怪人』
小笠原幹夫
(『怪人二十面相』)
笑い顔が可愛い女の人は、ほんとうの美人といえないかもしれません。たとえば女優さんなどは、少なくとも舞台やスクリーンの上では、ニヒルで、無表情で、冷たい感じのする人が名優(ということになっています。しかし、実生活の上では、「男は度胸、女は愛嬌」――。
『赤と、青と、黄色の』
佐久間クマ
(『檸檬』)
夏の終わりに突然、クラスから仲間はずれにされた三木。美少女で高嶺の花の存在のユキちゃん。ただのクラスメイトだった2人が、放課後にこっそりとある計画を仕掛けた。それはたった半日の出来事。