『Just fit』
垣内大
(『シンデレラ』)
お城の舞踏会にて王子様と運命的な出会いをしたのも束の間、午前零時に魔法が解けてしまうため、ガラスの靴を残して走り去ったシンデレラ。そんなシンデレラが王子様と再び出会い結ばれるまでの間には、もう一組のカップルが生まれていた。シンデレラと関係がありそうで、何ら関係のないお話。
『去』
津田
(『桃太郎』)
遠い昔。山奥で暮らす老夫婦がいた。長く寄り添ったふたりの関係は冷たくなっている。お爺さんは退屈な日々に飽き、何か変化がないものかと密かに期待していた。そんなある日の晩、お婆さんが「川で洗濯をしているときに大きな桃が流れてきた」と言った。
『趣味の壁』
真銅ひろし
(『青ひげ』)
家族にずっと秘密にしていることがあった。何度も打ち明けようと思ったがどうしても言えなかった。自分から進んでその趣味を選んだわけじゃない。ただそうすることが快感で安心するのだ。けれど、否定されるのが怖くて誰にも言えない。そんな時、会社から地方への出張を言われる。
『きびだんご作戦』
渡辺鷹志
(『桃太郎』)
桃井は自分が出世するためにある作戦(きびだんご作戦)を思いつく。それは、「やる気のない3人の部下に望む物を与えてやる気を出させて営業成績を伸ばし、その結果自分の評価も上がり出世する」というものだった。きびだんご作戦により3人は必死で働くようになるが……
『てまりうた』
木口夕
(『山寺の和尚さん』)
地味で温厚な営業マンの山寺が、愛する妻を失う話。
『だって、孫が可愛いから』
はやくもよいち
(『聞き耳頭巾』)
孫娘が小学生になった。それと同時に「安心ギア」という、AR(拡張現実)を使った児童保護システムの運用が始まった。初めは喜んでいた孫娘だったが、安心ギアのせいで公園へ遊びに行けなくなり、悲しみにくれる。主人公の「私」は、システムの改良を試みた。
『ネムリヒメノメザメサメザメ』
香久山ゆみ
(『眠れる森の美女』)
百年の眠りについた麗しき姫君。彼女はなぜ永き眠りについたのか。愛する人を喪ったから。夢の中だけでは、再び愛する人に会うことができた。だから彼女は自ら永遠に眠りの国にいることを選択した。しかし、周囲はそれを許さない。なんとしても彼女を目覚めさせようと躍起になる。そして彼女は――。
『人間には内緒』
平大典
(『菊花の約』)
僕の日課は夜になると、第二校舎の屋上へ行くことだ。そこには、高校一年生で死んでしまったアカネさんの幽霊が待っている。だけど、彼女はけっこう忘れっぽい性格で……。
『彼女は家事ができない』
中村ゆい
(『白雪姫』)
継母である王妃に殺されそうになって逃げてきた白雪姫。森の中の、7人の小人の家に住まわせてもらう代わりに家事を引き受けることになったのだが、お姫様に家事なんかできるわけがない。失敗して家の中をめちゃくちゃにしたことを小人たちに責められた白雪姫は、逆ギレして家を飛び出すが……。