ストラップ探しが再開された。
海斗はすぐにランドセルからストラップを取り出し、少し離れた茂みの近くを探している羽衣の元へと向かう。
「羽衣ちゃん」
「なぁに?」
名前を呼ばれ、茂みから顔をあげて海斗の方を見る。
髪に葉っぱがついているのも気にしていないのを見て、どれくらい真剣に探していたのかがわかってしまう。
そんな彼女に薄れていた罪の意識がぶり返しながらも、海斗はさらに罪を重ねていく。
「探していたのってこれ、かな? 僕が探していた茂み……見つけにくいところに落ちていたよ」
「――あっ!」
ストラップを見せると、彼女は目を大きく開いた。
そりゃそんな顔にもなるだろう。何日も探して、途中偽物を掴まされて、それでも探し続けたものが見つかったのだから。
「うん、うん! これだよ、わたしが探していたのはこれっ!」
そう言って羽衣は海斗からストラップを受け取り、
「……本当はね、鈴木くんが持ってきてくれたのがわたしのじゃないってすぐに気が付いたの。でも、二人のことを考えたら断れなくて……。それでせめて一人でも探そうって。だから嬉しいの」
羽衣の話を聞く度に、海斗は心苦しくなる。
「海斗くん。本当の本当にありがとうっ!」
彼女はそう言って夕日を背に、満面の笑みを浮かべる。
だけど海斗は、彼女の持っているストラップをずっと見つめることしかできなかった。