「まあ、結果的に老人を保護してたんだからさ。俺たちはきっといいことをしたんだよ」
「うん。で、いつのまにかこんな所にいる」
「まるでここが竜宮城みたいだな」
私とユリは声を上げて笑った。ユリのことは前からずっと気になってはいたが、急に仲が深まったのは確かに爺さんと婆さんのおかげではある。初めて一緒に夕飯を食べ、尽きぬ話に場所を変えて酒を飲み、調子に乗ってデートに誘ったらOKを貰った。今日はその約束の日で二人は水族館を訪れている。
私はそっとユリの肩を抱き寄せる。鶴を助け、亀には感謝され……。縁起がいいのは当然なのかもしれない。