取り巻きの一人がそれを聞いて、噴き出すように言う。
「金払って読んでもらうとか、必死か」
「そ、そういうわけではなくて、応援の気持ちというか」
分からないことだらけだ、と雄斗は思う。
画面で繰り広げられる会話。
応援のためのお金。
何より、それを語る男の目に宿る光。
取り巻き二人は「何それ」「ワケわかんねぇ」と悪態をつき始める。
雄斗はそんな二人に、「やめだ」と言った。
「え」
「どうしたんすか急に」
「三人で群れて、ワケわかんねぇオタク野郎を突っついてる状況がさ。くだらねぇなって」
「それは」
「全部終わりだ。お前ら、バカみたいにくっ付いてくるのはもう止めろ」
二人は何か言いたげだったが、首を傾げながら去っていった。
急な展開にソワソワしている男に、雄斗は声をかける。
「さっきの、何人ぐらいが見てんだ」
「ええと、千人くらいですかね。十倍とか、それ以上のライバーもいますけど」
千人でも、想像を超えている。
「そんなにいると、全員に返事できないだろ」
「そうですね、スパコメでも流れちゃうこともあるかも」
「それでいいのか」
「まぁ、応援の気持ちなので」
「そうか」
帰っていいぞ、と雄斗は言った。男は頭を下げ、小走りで去っていった。