限りない粒となった私のそれぞれは、これからまた木々の一部となり、空の一部となり、野を駆ける獣やせせらぐ小川となり、時には風となってその最中を走り抜けるのだろう。そしてまた移ろい、私はその中で生きる。 儚く、輝かしい四季の一部となった私を、きっとあの旅館は、また快く迎え入れてくれるだろう。いつか私を救ってくれたあの旅館から望める景色を、次は私が彩るのである。世界の一部として、四季の一部として、そしていつまでも。 5/5 前のページ 10月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5