――それで気が付いたのだ。
僕は動画に納めた鞠歌を編集ソフトを使って逆再生してみた。
不自然な鞠の上下の中、粛々とした様相で女の子は語っている。
「ころしたい。おまえを、どうしても。ころしたい」
後日、今まであった事件を追ってみた。
最初のマンションの飛び降りも、次の民家でも。無論、病院であった事もだ。
実は全部、殺人だった。
言霊でも予言でもなく、女の子はただ心の声を聞いただけ。
それが何故、彼女には逆に聞こえたのか。余りにも強い殺意は、あの幼い子には理解できなかったからなのか。
今だに分からない事だらけだが。
ただ、あの鞠唄を目前に歌われば僕は真っ青になり、疑いと戦く目で周囲を見渡してしまうだろう。
本当にソレが真実の声だったならばだ。