一週間後。
会議。他の先生方に若干の迷惑顔をされながらの一週間は辛くてしょうがなかった。
「では先週でた、桃姫、の事について先に話し合っていこうと思います。」
園長が言いづらそうに「桃姫」を口にする。
それはそうだ。誰もしっくりなんかきていないんだから。
「美智子先生、どうでしょうか。」
「はい。」
美智子先生はスッと立ち上がる。大した話し合いじゃないと思うのに立ち方が無駄にカッコいい。
「まず、園児にお供の動物は何が良いか意見を聞いたんですが、色々出ました。ちょっと読み上げますね。」
そう言って手元のノートを広げる。
「カバ、ライオン、ゾウ、キリン、孔雀、ペンギン、蜂、チーター、多かったのはこんな感じですね。」
一瞬静かな時間が流れる。
それはそうだ、リアクションに困るラインナップだ。
「まぁ、強そうなのをあげるのはもっともですよね。私はどれも良いなと感じますが、美智子先生はどれが良いと思いますか?」
「その前に、他先生方の意見も聞いてみたいですね。」
「・・・。」
たぶん園長は美智子先生の思い通りにやってほしかったのだと思うが、美智子先生はそれを軽くいなした。
「琴美先生はどうですか?」
美智子先生の視線がキッと私に向けられる。
何故私?注目が集まる。
「えっと、どうでしょうか。私も少し園児たちに聞いてみたりしたんですが、美智子先生と同じような感じでした。」
「そうですか。それじゃあ内容の方はどうでしょう?何か良いアイデアは出ましたでしょうか?」
「あの・・・提案したので言いにくいんですが、お供の動物たちは変えなくてもいいかなぁと思うんですが。」
「何故ですか?」
「それは、あの、あまり変えすぎてしまうと何の物語か分からなくなってしまうんじゃないかと思うんです。」
「でも、桃姫ならではのストーリーがあっても良いんじゃないですか?」
「はぁ、それは、まぁ、そういうのもあると思うんですが・・・。」
「ですが?なんでしょうか?」
何故だか美智子先生は食い下がる。