さらに、よくわからないという顔の老人をよそに、若者は自らの理解を掘り進めていく。
「そして、今は困っているわけだ。なるほどな! 大丈夫だ、爺さん! この村には古くからの伝統があるからな。『困ったときはお互い様』だ。安心していいぜ!」
その老人の手を取り、若者はニコリとそう告げていた。
「もっとも、貧しい村だ。そんな贅沢はできないけどな。でも、爺さんも出来る事があったらやってもらうぜ?」
まだよくわかっていない老人の手を引き、若者は村の方へと歩みだす。
――そうだ、もう少しこの先も見続けよう。
その若者に手をひかれる老人の背をみて、私はそう感じていた。