こうして二人は、日が昇り、日が暮れるまで、時間も忘れて語り合い、心地良い疲労感を感じるほど喋り尽くした後、再び会うことを約して、ようやく立ち上がった。
「袁傪、もし、街で暮らせなくなったら、この山に来るといい。たとえ君が龍でも、この山なら気兼ねなくその身を伸ばせるはずだ。」
「李徴、もし、お前が山で暮らせなくなったら、俺の家に来るといい。たとえお前が虎でも、うちなら幾らでも肉をふるまうと約束しよう。」
もう一度、二人は名残惜しそうに見つめあうと、李徴は山の頂上に向かって走り去り、袁傪は悠々と山を降りて行った。山の向こうには上り始めたばかりの月が再び、煌々と輝きだしていた。