小説

『四七人も来る』平大典(『忠臣蔵』)

 周りを見回す。叫び後を上げたせいか、全員の視線が、吉良に集まっている。
 沈黙を破ったのは、行列の先頭にいた大石だった。
「吉良、打ち取ったり!」
 次の瞬間、わーっと歓声が上がる。狂犬堀部も万歳している。
 もう勝手にやってくれ。
 吉良は踵を返し、雪化粧をした師走の街へ向かって歩き出した。

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