小説

『その恋がブージャムだったなら』紗々井十代(『スナーク狩り』)

 「もしもその恋がブージャムだったなら、あなたはきっと消え失せてしまう」
 「ブー……?」
 次の瞬間に僕は家にはいなくて。外にもいなくて。どこにもいなくて。
 すっかり消え失せた。アリスの胸に体温さえ残さず。
 この恋はブージャムだったのだろうか。

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