小説

『リーリエとジーリョ』イワタツヨシ(『ジキルとハイド』)

 夜が明ける前にリュカはその場所へたどり着く。その雪の平原には、彼が昨夜に見た飛行船がある。飛行船は雪に埋もれている。
 そこにジーリョの姿はなかった。土竜が出たような形跡がある。ジーリョはここから歩いてどこかへ向かっただろうが、深々と降りつづいていた雪で足跡は消えている。リュカは扉を見つけて中に入った。
 飛行船に乗るのは初めてだが、伝達により、操縦方法は分かる。
 行き先は、太陽の反対側に存在する惑星。彼らの故郷。その目的は、その星で、その星の人間が産んだ卵を手に入れ、地球に持ちかえり、地球の「悪人」に接触させること。それがジーリョの第三の計画。

1 2 3 4 5 6 7 8 9