「まだやってんの…」
やれやれと呆れつつ、またも連中の横を通る。
「ねえ!キミちょっと待って!」
「え?」
「やべー!超かわいいじゃん」
「マジだ!一緒に飲みに行こうよ!」
これは、一体何事?
ついさっきまでは、私の存在に気付きもしなかったのに。
「でも私お金持ってないし」
「金なんて俺らが出すからさ」
「近くに良いBARがあるんだ、そこ行こうよ」
「華金だし、いいじゃん」
「お酒飲めるよね?」
「あ、はい」
放ったらかしにされている女どもの視線がキツい。
私は肩を掴まれ、半ば強引にその場から連れていかれた。
道中、彼らから質問責めになっている時も曖昧な返事しかできない程に、状況が上手く飲み込めずにいた。
もしかして本当に私…。
『お飲み物は?』
「え…」
はっとして辺りを見渡すと、そこはもうBARのカウンターだった。
「あの、私、お手洗い行ってきます!」