小説

『ブレーメンの音楽隊』多田正太郎(『ブレーメンの音楽隊』)

よたよた、だけど、それは捨てない。
決してな!
よたよた、でなぁ。
ああ。
朝目覚めて、よたよた。
夜寝るときも、よたよた。
かもしれないけど、それは捨てない!
そして、伝えるのさ、知恵を。
知恵?
ああ、そういった課題を目指す。
だから生き延びる、ってーな、知恵。
この知恵を、伝える役割。
しっかりと、果してゆく。
それだと思う。
まぁ、人それぞれだから。
いや、そのあたりは、同じ気がする。
そうか、やっぱり、兄弟だな!
はははは、そうか、それは嬉しいぜ。
いずれ、老いるんだし、お前も俺も、よ。

さてさて、実は。
そう実はなのです。
ある朝のこと。
3つのお墓が並んだ丘。
そこに、ロバが。
旅の仲間、イヌとネコは、だいぶ前。
一緒の日、一緒の時間に。
亡くなっていました、老衰で。
手を確りと固く結んで、幸せに満ちて。
えー、そうなの?
妻と夫だった、前世。
それが、成就したのですから。
そして、今朝。
ニワトリも。
飲み込む力が衰え。
食べ物を、とることが、出来なくなって。
それでも、1週間も。
頑張りました。
でも、ロバの、手厚い看護も、空しく。
息を引き取ったのです。

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