小説

『ぽんぽこ、ぽんぽこ』多田正太郎(『童謡・証城寺の狸囃子』『松山騒動八百八狸物語』など)

だから、言ってるだろ!
危機よ!

何の?

な、何を、能天気な!
地殻変動とか!
あの、地震では。
津波とかで。
我々の仲間の、多くも。
尊い命、失った。
その前から、ずーっと、続く。
自然破壊。
ただでさえ、住む場所。
どんどん、失っていたのに、な。
里山なんか、昔話よ!
今や、な!
追い詰められて・・。
街中で、みじめな姿。
それ、さらしている仲間も、な・・。
それだけじゃないぞ。
気象変動。
これがな、これが、とてつもなく、な。
我々の将来を、な。
暗雲で、覆う。
それ、避けられない、ってな。
まぁ、他の、野に生きる動物族の面々も。
同じことだが、な。
そんな、危機を、津々浦々の。
狸族の皆の衆が、な。
大いに、感じ、危機感を、な。
そんな事態だ。
だけど、だけどだ!

だけど、何?

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16