小説

『ぽんぽこ、ぽんぽこ』多田正太郎(『童謡・証城寺の狸囃子』『松山騒動八百八狸物語』など)

ああ、確かに、な。
平和が、な、今のとこは、な。
守られているさ。
人間どもが。
日本、とか、称している。
この国の民、日本人。
こいつらが言う、ところの、な。
幕末、それは、300年?
いや、250年だったかなぁ。
とにかく、それくらい長く、続いた。
江戸幕府とかで、征夷大将軍とか。
そんな大将が、支配してな。
えーと、なに体制、ったか、なー?
ほら、あれあれ。

幕藩体制のこと?

ああ、それそれ。
いや、なんでもいいんだが。
呼び名なんて、よ。

なら、言うなよ。

とにかくだ、これを倒し。
維新、そう、名付けている。
体制革命を、な。
やり遂げたらしい。
これを、歴史に、刻んだ。
もちろん、あいつらの、歴史だが、な。
そこでな、思ったもんさ。
この頃、日本人同士。
言葉が、通じ合えた、のだろかってな?

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