小説

『ぽんぽこ、ぽんぽこ』多田正太郎(『童謡・証城寺の狸囃子』『松山騒動八百八狸物語』など)

どうしたらいいんだ!
これ言うのに。

どげんしたらよかんだ!
どないしたらええんや!
どないやんかええんや!
どしたきやいいんだ!

この有様だ。
長い間、狸は、縄張りを。
国境、こう納得し合ってきた。
これを、頑なまでに、な。
守ってきたのだ、長い間な。
愚直、ああ、そうかもしれんが、な。
そのことによってだ。
平和が、平和が、な。
保たれてきたわけだぞ。
しかしな、その、間に。
方言が、もはや、違う言語。
そう、通じ合えない。
言葉、と、なっていた。
この通りな。
会議をするにも、会話が。
成立しない。
こんな事態に、な!

ちょっと、ちょっと、待ってよー。
長い間の平和?
それ、人間界でも、不可能だったよ。
素晴らしい、ことだよ!

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